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シリーズ「授業」(令和3年度)

生活を見つめ、より豊かに家庭生活を創り出す子どもの育成
~「見つめ直す」「気付く」「考える」「できる」「生かす」学習過程を通して~

福井県小学校家庭科教育研究会 敦賀市立角鹿小学校
教諭 笠川 佳奈

Ⅰ.研究主題設定の理由

 令和2年度より新学習指導要領が全面実施となり、小学校家庭科においても、生活をよりよくしようと工夫する資質・能力の育成が求められている。そのため、家庭科の学習では実生活 と関連を図った問題解決的な学習を効果的に取り入れ、「知識及び技能の習得」、「思考力、判断力、表現力等の育成」、「学びに向かう力、人間性等の涵養」の3つの柱を相互に関連させることにより、教科全体の資質・能力を育成することを目的として、本主題を設定した。

Ⅱ.目指す子供の姿

自分の生活経験と関連付けて思考できる子供
他者と考えを共有し、それをもとに計画を修正し、よりよい方法を判断・決定できる子供
家族や地域の人々との関わりを大切にできる子供

Ⅲ.授業実践

1.題材名 第6学年(全6時間)

「よりよい掃除の仕方を考えよう」
B(6)快適な住まい方

2.児童の実態

家庭科の学習に対する意欲は見られるが、家庭での実践経験が少なく、家族の一員として協力することや地域の人々と積極的に関わろうとする意識は低い。

3.題材の目標
清掃の仕方によって汚れの落ち方が変わることを理解し、汚れの種類や場所に合わせて適切な清掃道具・方法を選択することができる。【知識・技能】
清掃方法の問題に対する様々な解決方法を考え、実践・評価・改善することで、よりよい解決方法を身に付けることができる。【思考・判断・表現】
家族の一員として生活をよりよくしようという意識をもち、自分なりに清掃方法を工夫し、実践に生かそうとしている。【主体的に学習に取り組む態度】
4.研究の視点と内容

「見つめ直す」「気付く」「考える」「できる」「生かす」の学習過程の中に、以下の3つの視点を設定し研究を進めてきた。

【視点1】見つめ直し、生かす授業づくり
家庭生活を見つめさせる工夫
自分たちの掃除を見つめ直すため、清掃後の教室の汚れ調べを行い、掃除の仕方に問題があることに気付かせ、本題材の追究意欲へとつなげていった。そして、掃除の仕方を調べたり試したりする活動の中で、その後の自分の生活に生かしたくなる学習過程を組んだ。最後にはパフォーマンス課題を取り入れ、今後、場面状況や時間などいろいろな場合に対応でき、実際の生活で生かすことのできる力を付けさせることを意識した。
【視点2】家庭生活に生かすための地域人材の活用
学校だけでなく、多面的・多角的な切り口で児童にアプローチすることで、子供の「主体的な学び」「学ぶ意欲」が向上し、家庭や地域での実践にもつながる。そのため、本題材では、最も身近な地域人材である家族の存在を活用し、各家庭の掃除方法を授業に取り入れたり、家庭での掃除実践にもご協力いただいたりした。本研究の他の実践ではゲストティーチャーも招き、課題解決に向けて、違った角度からも考えられるようにした。
【視点3】実感する言語活動
その時間の学習で押さえたい言葉〔キーワード〕は、色文字で板書したりワークシートに記入させたりして、知識として身に付くようにした。第6時では、充実した言語活動を行うために、子供たちに考えさせたい「時短」「優先順位」という視点を授業の導入で明確にし、この視点で子供たちが話し合ったりまとめたりできるよう意識した。また、それまでの授業で調査や実験、掃除実践などの体験を多く取り入れることで、実感を伴った話し合い活動ができるようにした。

Ⅳ.研究のまとめと考察

子供たちがこれまでの自身の生活体験を見つめ直すことで、主体的に学習に取り組んだり、課題解決の見通しをもったりすることができた。
自身の生活を見つめ直すことで、自己の変容を実感したり、目指す自分をイメージしたりすることができた。
自分の生活は家族の協力や地域の人々との関わりの中で成り立っていることに気付くことができた。
他者の思いや考えを聞いたり、自分の考えを根拠や理由を明確にして分かりやすく伝えたりする中で計画を修正し、よりよい方法を判断・決定することができた。
体験的な活動を多く入れることで、一人一人が実感を伴いながら言語活動を行うことができた。
子供たちが学習したことを実生活で「生かしたい」と感じるような授業を、さらに研究していく必要がある。
学習内容に合った人材を探すこと、ゲストティーチャーと授業の流れをきちんと共有することが難しかった。地域にいる人材の情報を共有する方法を考えていきたい。
充実した言語活動を行うためには、子供たちに考えさせる視点を常に意識して授業づくりする必要がある。